秘密の日記

　　　こうもりの秘密
　　　　パパと二人で晩ご飯を食べていたら
　　　　とっても悲しいことを思い出して、涙が出てきてしまった。
　　　　パパは楽しそうに、ばくばく食べていた。
　　　　なのにそのあと、テレビでこうもりを殺して食べるシーンになったら
　　　　泣いていた。
　　　　パパは私より、こうもりのこと愛していた。

　　わき毛の秘密
　　　　私のお母さんにはわき毛がなかった。
　　　　だから私は、大きくなってもずーっと
　　　　女の人には、わき毛が生えないと思いこんでいた。
　　　　ある日、バスで座っていたら
　　　　前に立った女の人に、ぶわっ！とわき毛が生えていた。
　　　　うわっ、このおばさん、おじさんだー。
　　　　そう思った私は、今、右に２本だけ生えている。
　　　　わき毛が生えそろったとき
　　　　私は、本当の大人の女になれるんじゃないかと思う。

　　お父さんの秘密
　　　　 長いこと意識不明だったおとうさんのおでこを
　　　　熱いタオルでふいてあげていた。
　　　　お父さんの頭は、とても丸かった
　　　　くるくるふいているうち、いつかもこんなことをしたような
　　　　何か、懐かしい思いにとらわれた。
　　　　ふたつの鼻の穴を見たとき、つい指を入れそうになって気づいた。
　　　　それはボーリング場での、投球前の作業に
　　　　悲しいほどよく似ていた。
　　　　ああ、お父さん、まだ成仏していない んでしょうか。

　　寒い朝の秘密
　　　　犬のさくらこが、廊下でうんちしてしまった。
　　　　テイッシュでつまんだら
　　　　床に、うんちの形の水蒸気が残った。
　　　　ん？今日はやっぱり寒いんだなと、判断できてとても便利。

　　息子の秘密
　　　　たくとは、パパにもママにも
　　　　全然、似ていない。
　　　　どうしてか、
　　 　　言えない

　　本当に秘密
　　　　引っ越ししたとき
　　　　テレビの配線をつなぎに来た人が
　　　　コードが短いとか、これじゃできんとか
　　　　あまりぐちゃぐちゃいうので訳がわからなくなり、
　　　　パパに電話して電気屋さんと話してもらった。

　　　　その後、またすぐ
　　　　 パパから電話があり
　　　　「電気屋と代われ！会社に電話する！上司と話す！」
　　　　 とすごく怒ってどなっていた。
　　 　　
　　　　なんでも、電気屋さんが、まだパパが話してるのに
　　　　電話を切ったのが、気に障ったらしかった。
　　　　電気屋さんは「私がなにか・・？」と、おどおど、びくびくしていた。
　　　　でもねパパ、今だから言うけど
　　　　電話を切ったのは、わ・た・し。

以上

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